フローリングの色を変える方法は、張り替えだけではありません。塗装・着色、表面シート、置き敷き床材、上張りなど、今の床を残して見た目を変える方法もあります。
ただし、床材の種類や表面加工によっては塗装ができず、上張りができない床もあります。床鳴りや沈みがあるときは、色を変える前に不具合の原因を調べることが大切です。
まず方法の違いを比べ、そのうえで費用と住まいの制約を整理していきます。
- 色を変える5つの方法と、それぞれに向いている床
- 張り替えずにできる方法と、DIYの注意点
- DIYの材料費と業者施工の参考価格の違い
- マンション・賃貸住宅で施工前に確かめること
フローリングの色を変える方法は5つ
床の色を変える主な方法は、表面を着色するもの、別の床材で覆うもの、既存床を撤去するものに分けられます。まずは今の床を残せるかと、どこまで工事するかの違いを押さえましょう。
| 方法 | 向いている条件・主な制約 |
|---|---|
| 塗装・着色 | 塗装できる木地や既存仕上げなら候補。塗膜・ワックス・希望色に制約がある |
| リメイクシート | 平滑で施工に適した床面を覆いたい場合。密着・端部・剥がれに注意 |
| 置き敷き床材 | 製品が指定する下地に置いて色柄を変えたい場合。厚みと床面の相性に注意 |
| フローリング上張り | 既存床が健全で、追加の床厚を許容できる場合。防音床などでは施工制限あり |
| フローリング張り替え | 既存床の撤去や下地補修が必要な場合にも検討。撤去工程と費用がかかる |
色柄を大きく変えたいなら床を覆う方法が候補になりますが、「剥がさずに済む」ことだけで選ぶと、床の傷みや扉との干渉を見落とすおそれがあります。
自宅の床で使える方法を先に確認する
希望の色を決める前に、既存フローリングの種類と傷みの有無を把握しておきます。これで、材料を買ってから施工できないと分かるリスクを減らせます。
| 床の状態 | 確認・判断事項 |
|---|---|
| 無垢材 | 木地の状態、既存の塗装やオイル仕上げ、研磨の可否を調べる |
| 天然木複合材・化粧シート仕上げ | 表面の塗膜や化粧層に合う材料・工法かを製品資料で調べる |
| ワックス・コーティング済み | 既存仕上げと塗料・接着材の相性を調べる |
| 床鳴り・沈み・浮きがある | 表面を覆う前に原因と補修範囲を施工会社に調べてもらう |
| 床暖房・クッション付き防音床 | 上張り材や置き敷き材が対応するか、製品の施工説明書を調べる |
無垢・複合・シート仕上げで塗装の可否が変わる
同じ木目に見える床でも、木材そのものが表面にあるのか、工場塗装や化粧シートで覆われているのかによって塗装の方法は変わります。無垢材向けの塗料を、複合フローリングへそのまま使えるとは限りません。
また、ワックスの残った床へニスを塗ると、剥がれるおそれがあります。床材の品番や建築資料が分かれば、床材メーカーと塗料メーカーの両方で対応する施工方法を照らし合わせてください。
床鳴り・沈み・浮きがある場合は下地の確認を優先する
表面に新しい床材を重ねても、床鳴りや沈みの原因が解消されるとは限りません。下地の不具合なら、既存床の一部撤去や補修が必要になることもあります。
一方で、床鳴りがあるから必ず全面張り替えというわけでもありません。どこが動いているのか、下地まで傷んでいるかを現地で調べ、その結果に応じて施工範囲を決めます。
張り替えずにフローリングの色を変える方法
既存床を残して色を変える方法にも、表面だけを加工するものと、新しい床材を重ねるものがあります。施工の手軽さだけでなく、今の床に使えるかを優先して選びましょう。
塗装・着色で変える場合
木地に着色剤を浸透させるステインは、木目を残したまま色味を変える選択肢です。ただし、既存の塗膜が残っている床では、着色剤が木部へ浸透しない場合があります。
ステインを塗り重ねる方法は色を濃くする方向には使えますが、濃い床を同じ方法で白っぽく戻すことはできません。明るい色へ大きく変えたいなら、別の表面材で覆う方法も含めて考えます。
着色だけでは木材の保護にならないため、適合する保護仕上げが必要です。また、製品名に「着色」とあっても床全体の色変更に使えない製品があります。施工面積と用途を塗料メーカーの説明で確かめてください。
ワックスは床の保護やつやの維持が主な目的であり、床色を自由に変える塗料と同じものではありません。
リメイクシートで表面を変える場合
床用リメイクシートは、既存フローリングの表面を別の色柄で覆う方法です。塗装では難しい明るい床色への変更も、シートの色柄を選ぶことで検討できます。
シートの仕上がりは、下地の平滑さや表面の状態に左右されます。段差・浮きがある床に貼るときや、端部・継ぎ目の処理が必要な場所では、対象製品の施工方法を確認しなければなりません。
「剥がせる」と表示されていても、長期間貼った後の接着跡や既存床への影響まで一律に保証されるわけではありません。賃貸では、商品説明だけでなく貸主との取り決めも優先します。
置き敷き・吸着式床材を使う場合
置き敷き・吸着式の床材には、釘や接着剤を使わず既存床の上に施工できる製品があります。色柄の変更をDIYで行いたい人にとって検討しやすい一方、どの床にも使えるわけではありません。
具体例は、DAIKENの吸着フローリング「YX169-10(バーチ柄)」です。製品の特徴を踏まえ、施工可能な下地を確かめてから選びます。
- サイズ:厚さ4mm、幅150mm×長さ900mm
- 入数:12枚入り、約1.62㎡/ケース
- 構成:MDF基材、特殊オレフィンシート表面
- 施工:裏面の吸着材で固定し、釘・接着剤を使わない
この製品を検討する場合の主な適合・施工条件は次のとおりです。
- 平滑な木質フローリングなど、メーカーが指定する下地に施工する
- 無垢材、マンション用クッション付き防音床、床暖房パネルを組み込んだ床など、禁止下地には使わない
- 既存床の大きな凹凸、損傷、強度不足がないか調べる
- 床暖房・ホットカーペットなどの使用制限を確かめる
- 厚さ4mm分の床高上昇で、ドア・敷居・見切りに支障がないか測る
- 賃貸の場合は、床材への適合とは別に施工承諾と原状回復の取り決めを確認する
施工できる下地や禁止条件は製品ごとに違います。DAIKENの置くだけフローリング公式案内を参考に、購入する型番の最新施工説明書も確認してください。
既存床の上からフローリングを上張りする場合
上張りは、既存床を撤去せず、新しいフローリングを重ねる工法です。表面の色柄を一新できますが、既存床が健全で、使用する床材が今の下地に対応していることが前提となります。
薄型のリフォーム用床材には厚さ3mmや5.8mmの製品もありますが、厚さが薄ければどこでも上張り可能というわけではありません。DAIKENの一部製品では、マンション用直張り防音フローリング等への施工を認めていません。
床が高くなることで、開き戸の下端、敷居、隣室との段差、巾木や見切りの納まりに影響する場合があります。見た目が希望どおりでも、扉が開かなくなるようでは使い勝手を損ねます。

既存床を撤去して張り替えた方がよい場合
既存床が傷んでいるときは、無理に覆うより、必要な範囲を撤去して下地を補修する工法が適する場合があります。見た目の改善と床の不具合への対応を、分けずに考えたいところです。
- 浮きや沈みがあり、上張り材を安定して施工できない
- 床鳴りなどの原因調査で、既存床の下の補修が必要と分かった
- 上張りすると扉・敷居・隣室の床高に支障が出る
- 既存床の仕様が、選びたい上張り材の施工禁止下地に該当する
このような状態でも、部分補修で対応できる可能性はあります。施工会社には「色を変えたい」だけでなく、床鳴りや沈みの位置、下地を補修できる範囲まで伝えるとよいでしょう。
全面張り替えの工事範囲や費用は、フローリング全面張り替えの費用と追加工事を解説した記事で詳しく扱っています。
フローリングの色変更にかかる費用とDIY・業者施工の違い
費用を比べるときは、「材料だけの金額」と「工事込みの金額」を混ぜないことが大切です。同じ6畳でも、既存床の撤去や下地調整が含まれるかで負担は変わります。
| 方法・掲載条件 | 金額と費用区分 |
|---|---|
| 床用リメイクシート(幅460mm×1m) | 税別1,700円/材料のみ。リフローリングの掲載例 |
| 床用リメイクシート施工 | 7,000円/㎡、材工価格。税区分不明。リフローリングの掲載例 |
| フローリング上張り(6畳) | 税込約10万円〜/参考工事価格。住まいるリフォームの掲載例 |
| フローリング張り替え(6畳) | 税込約15万円〜/参考工事価格。住まいるリフォームの掲載例 |
表の金額は、2026年10月25日時点で各事業者が掲載していた価格例であり、全国平均ではありません。リメイクシートと工事の価格は掲載元や含まれる作業が違うため、この金額だけで工法の優劣は決められません。
DIYは材料費だけでなく下地処理・副資材も確認する
DIYでは商品代金が目につきますが、施工面積に応じた購入数量のほか、製品が求める下地処理用品や端部の施工材料も検討対象になります。床の一部を覆うのか、部屋全体を施工するのかでも必要量は変わります。
特に塗装は、元の床の表面仕上げによって工程が変わるため、全国共通の「塗装ならいくら」という金額を一律には示せません。材料価格だけでなく、床材に使える施工方法なのかを先に見極めます。
上張り・張り替えは工事範囲をそろえて比較する
上張りは既存床の撤去工程を減らせる場合があります。一方、張り替えでは撤去・下地調整などの工事が入りやすく、掲載価格の対象範囲が同じとは限りません。
見積書では、床材・施工費に加えて、次の作業が含まれるかを見ます。
- 既存床の点検と下地補修
- 既存床の撤去・処分
- 建具調整、見切りの施工
- 家具移動
金額だけでなく、「何を直して、どの状態で仕上げるか」も比べる基準になります。
マンション・賃貸住宅で床色を変えるときの注意点
住まいの種類によっては、床材の適合性だけでなく、規約や契約上の制約もあります。特にマンションの防音床と賃貸の原状回復は、施工後に気づいても対応しにくい点です。
マンションでは遮音条件・管理規約・床暖房を確認
マンションの床は遮音性能を考慮して施工されている場合があります。クッション付きの直張り防音フローリングでは、上張り材や吸着床材が使えない製品もあるため、床材メーカーの適合条件と管理規約・使用細則の両方を照らし合わせます。
- 既存床の種類と、管理規約・使用細則に定める遮音条件
- 床工事に事前の届出・承認が必要かどうか
- 床暖房がある場合、使う材料と施工方法が対応しているか
- ドア下、敷居、隣室との段差を含む完成後の床高
内装工事の手続きはマンションごとに違います。国土交通省の専有部分内の模様替え工事Q&Aも参考に、管理会社へ必要な手続きを問い合わせます。
マンションでの床工法や費用の違いは、マンションのフローリングリフォーム費用・床材選びの記事で詳しく説明しています。
賃貸住宅では施工承諾と原状回復条件を確認
賃貸では、材料を剥がせるかどうかだけで施工可否を決められません。床の改修について貸主や管理会社の承諾が必要か、退去時にどの状態へ戻す約束なのかを先に整理しておきます。
国土交通省のDIY型賃貸借の資料でも、改修内容と原状回復について事前に合意する考え方が示されています。通常の賃貸住宅で、DIYを自由に行えるという意味ではありません。
床色は壁・建具・照明との組み合わせで確認する
好きな床色が見つかっても、壁・建具・照明の中で見たときにイメージが変わることがあります。床材だけを切り離さず、普段の部屋の見え方を考えて選ぶと、仕上がりのイメージを整理しやすくなります。
私の自宅マンションでは、床や壁紙などの内装を更新するとき、床色と照明、アクセントクロスを組み合わせて計画しました。リビングにはグレーのアクセントクロスを採用しています。

実際に考えるなかで、小さなサンプルを見るだけでなく、床・壁・照明の組み合わせや、昼と夜での見え方を合わせて考える必要があると感じました。これはわが家での感想であり、どの色が正解かを示すものではありません。
- 床材の色柄を、壁・建具・家具と組み合わせて見る
- 照明を点灯した状態と、日中の室内の見え方を考える
- 部屋の出入口や引戸レール付近で、床材の厚みと仕上げの境界を考える

施工や材料購入の前に確認すること
方法の候補を絞れたら、材料の購入や工事依頼の前に、今の床と仕上がりの条件を一度整理しておくと、製品の取り違えや追加工事の見落としを避けやすくなります。
- 既存床材:品番、無垢・複合・シート仕上げ、現在の塗膜やワックス
- 床の状態:沈み・床鳴り・浮き・大きな凹凸と、下地補修の要否
- 希望する色:今より濃くしたいか、明るくしたいか、色柄ごと変えたいか
- 施工面積:必要な材料数量と端部・境界の施工範囲
- 設備・寸法:床暖房、ドア下、敷居、隣室との段差
- 住宅の制約:マンションの遮音・工事手続き、賃貸の施工承諾
- 費用の範囲:材料費、施工費、撤去・補修、建具調整、追加費用
業者へ依頼する場合は、希望の床色だけでなく、今の床の不具合も伝えたうえで、どの範囲を施工する見積もりなのか説明してもらいましょう。見積書の比較項目はリフォーム見積もりの比較方法の記事でも整理しています。
床材の種類や傷み、段差などを伝えて相談すると、工法と工事範囲を整理しやすくなります。施工会社からの提案と、別途かかる可能性がある費用を見比べましょう。
まとめ|今の床の状態に合う色変更方法を選ぶ
フローリングの色は、塗装、シート、置き敷き、上張り、張り替えの中から、今の床に合う方法を選んで変えられます。安さや手軽さだけで決めず、既存の仕上げと下地の状態、床高、住まいの制約を合わせて考えることが大切です。
DIYなら購入前に製品の適合条件を、業者施工なら現地調査で下地補修を含む工事範囲を確かめ、納得できる方法を選びましょう。







