リビング横の和室は、間仕切りや建具をなくして完全に一体化する方法と、引戸・可動間仕切りを残して必要なときだけ個室にできる方法があります。どちらを選ぶかで、暮らし方だけでなく工事範囲や費用も変わります。
費用を考えるときは、畳をフローリングへ変える金額だけを見るのでは不十分です。壁や建具の撤去、床の高さ調整、壁・天井の仕上げ、押入れなどの収納変更まで含めて、どこまで一体化したいかを先に整理すると見積もりを比べやすくなります。
マンションでは、希望する形がそのまま施工できるとは限りません。撤去する壁、床材の遮音性能、管理規約や工事申請まで含めて、自宅で実現できる範囲を見ていきましょう。
- 完全一体化と、仕切りを残す方法の違い
- 一体化で必要になる工事と費用の考え方
- マンションで先に見ておきたい壁・床・管理規約
- 見積もり前にそろえておきたい工事範囲
和室とリビングは「完全に一体化」するか「仕切りを残す」か
最初に決めたいのは、和室を独立した部屋として使う可能性を残すかどうかです。開放感を優先するなら完全一体化、来客・子どもの遊び場・寝室などにも使いたいなら、開け閉めできる仕切りを残す方法が候補になります。
| 方法 | 考え方 |
|---|---|
| 完全に一体化 | 壁・建具をなくし、床や内装もそろえて広いリビングとして使う |
| 仕切りを残す | 普段は開放し、必要なときだけ引戸や可動間仕切りで個室にする |
壁・建具をなくして完全に一体化する
和室を独立した部屋として使う予定がなければ、リビングとの境界をできるだけなくす方法が分かりやすいです。襖や引戸だけでなく、間仕切り壁や垂れ壁まで変更すると、空間を連続して見せやすくなります。
一方で、境界をなくすほど床・壁・天井の仕上げをそろえる範囲が広がります。押入れを撤去してリビング側へ取り込む場合も、収納の作り直しまで工事に含めて考えることになります。
引戸・可動間仕切りを残して個室にもできるようにする
和室を完全になくすことに迷うなら、開放できる引戸や可動間仕切りを残す方法があります。普段はリビングとつなげ、来客時や就寝時には閉じる、といった使い分けができます。
この方法では、開けたときに建具がどこへ収まるかも見ておきたいところです。引戸を開けても壁際に建具が重なって大きな開口が取れない設計では、期待したほど一体感が出ないことがあります。

一体化リフォームは床だけでなく壁・建具・収納まで工事範囲が広がる
和室とリビングを一体的に見せるには、畳をフローリングへ替えるだけではなく、境界部分をどう納めるかが重要です。壁・建具、床、内装、収納の順に考えると、必要な工事を整理しやすくなります。

間仕切り壁・襖・建具を撤去または変更する
まず、リビングと和室の間にある襖・引戸・間仕切り壁のうち、どこをなくすかを決めます。建具だけを外すのか、壁や垂れ壁まで変更するのかで、開口の大きさも工事量も変わります。
壁については「見た目が間仕切りだから撤去できる」とは限りません。特にマンションでは建物の躯体に関わる部分を前提に工事を進めず、図面と現地で施工会社に見てもらうのが基本です。
畳をフローリングへ変更し、床高さをそろえる
畳を撤去すると、隣のリビング床との高さが合わないことがあります。フローリングを張るだけでなく、下地を組んで高さを調整する工事が必要になれば、その分だけ手間と費用も増えます。
マンションでは床材の遮音性能が管理規約で定められていることもあります。DAIKENも、畳からフローリングへ変更する際は管理組合へ床材の遮音条件を確認するよう案内しています。床工事を詳しく知りたい方は、畳からフローリングへリフォームする費用と工法も参考にしてください。
DAIKEN「畳をフローリングにリフォームするなら床の防音を」
壁・天井・押入れまでそろえるか決める
境界をなくしたあと、元和室だけ床やクロスが違うと、部屋としての区切りが目立つことがあります。リビング側まで床を張り替えるのか、壁・天井のクロスも一続きにするのかで、完成時の見え方と予算が変わります。
押入れも同じです。残して収納として使う、クローゼットへ変える、撤去してリビングを広げるなど選択肢があります。和室全体を洋室として使う場合の工事範囲は、和室から洋室へのリフォーム費用と工事範囲で詳しく整理しています。
費用は「どこまで一体化するか」で大きく変わる
費用は、壁・床・建具・収納のどこまで手を入れるかで大きく変わります。公開されている費用例も、和室全体の洋室化、可動間仕切りの設置、床工事など対象範囲が違います。
| 公開されている参考例 | 金額の読み方 |
|---|---|
| Panasonic:和室→洋室変更 約40~100万円以上 | 個室・和室リフォームの掲載目安。税区分の明記は確認できない |
| Panasonic:間取り変更を伴う和室 約100万円以上 | 間取り変更を伴う改修の掲載目安。一体化専用価格ではない |
| 住まいるダイヤル:可動間仕切り変更 375,181~437,632円 | 壁・建具撤去、可動建具、取付、諸経費20%を含むモデル。共用部養生・処分費などは別途 |
| 住まいるダイヤル:防音フローリング11.8㎡ 163,297~200,023円 | カーペットから防音床へ変えるモデル。一体化リフォームの総額ではない |
たとえば、床だけを変えるケースと、壁を撤去して建具・天井・収納まで手を入れるケースでは、同じ「和室をリビングにする」リフォームでも内容が大きく違います。上表の最安値と最高値をつないで独自の相場にするのではなく、自宅で必要な工事項目に近い数字を見る方が実用的です。
可動間仕切りのモデル見積は、住まいるダイヤル「間仕切り壁を可動間仕切り建具にする」で内訳まで確認できます。
マンションでは壁・床・管理規約を先に確認する
マンションの一体化リフォームは、内装の好みだけでは決められません。壁の種類、床の遮音、管理組合への申請という3点を早い段階で整理しておくと、できないプランを前提に見積もりを進めるのを避けやすくなります。
撤去予定の壁が取り外せるか確認する
国土交通省のマンション標準管理規約では、天井・床・壁について「躯体部分を除く部分」を専有部分とする規定例が示されています。つまり、室内に見える壁だからといって、すべてを自由に撤去できる前提では考えません。
標準管理規約は各マンションの規約そのものではありませんが、専有部分と共用部分を考える参考になります。間取り変更全体の制約や変更例は、マンションの間取り変更でできること・費用・変更例でも整理しています。
フローリングの遮音条件を確認する
畳からフローリングへ変える場合、床材を自由に選べるとは限りません。遮音性能の基準が設けられているマンションでは、その基準に合う床構成を選ぶ必要があります。
よく見かける「LL-45」を全国一律の必須条件として考えるのではなく、自宅の管理規約や工事細則に記載された基準を見ます。床材だけでなく、直床か二重床かなど既存の床構造によっても納まりは変わります。
工事申請・養生・工事時間も確認する
国土交通省の標準管理規約第17条には、共用部分または他住戸に影響を与えるおそれのある修繕等について、事前申請・承認と、設計図・仕様書・工程表を添付する規定例があります。
実際に何を提出するか、床材の指定、共用部の養生、搬入経路、工事可能な曜日・時間帯などはマンションごとに違います。見積もりを取る前後で管理規約と工事細則を施工会社にも共有しておくと、後から仕様を変えるリスクを減らせます。
【実例】筆者宅は和室をなくさず、引戸でLDKとつながる形を選んだ
私の自宅マンションでは、和室そのものをリビングへ完全に取り込んだわけではありません。5畳の洋室をLDKへ取り込んでリビングを13畳から18畳へ広げる一方、6畳だった和室は4.5畳へ縮小し、引戸を残しました。

引戸を開ければLDKとつながり、閉じれば和室を独立した空間として使えます。部屋数を残すことより家族が長く過ごすLDKを広くすることを優先しつつ、昼寝や遊び、来客時にも使える場所は残したかったためです。
収納もそのままではなく、1畳の押入を0.5畳に縮小し、別に2畳のWICを設けました。完全に一体化するか迷っている場合は、「和室を残す/なくす」の二択ではなく、面積を小さくして開閉できる形にする考え方もあります。

自宅の間取り変更全体は、中古マンションのLDK拡張リフォーム実例と和室の残し方で紹介しています。和室と収納の変更は、和室を縮小してWICを作ったリフォーム実例にまとめています。
間取りを動かすと、壁だけでなく照明・スイッチ・コンセント・家具配置の前提も変わります。わが家でも、部屋の使い方を起点に間取りと収納を一緒に考えたことで、単に面積を広げるだけではない計画になりました。
見積もり前に「どこまで変えるか」を同じ条件で整理する
一体化リフォームの見積もりは、会社ごとに伝える工事範囲が違うと金額を比べにくくなります。少なくとも次の項目は、希望をそろえて伝えられるようにしておくと見比べやすくなります。
- 和室を完全に一体化するか、仕切りを残すか
- 壁・襖・引戸をどこまで撤去または変更するか
- 元和室だけでなく、既存リビング側まで床を張り替えるか
- 壁・天井の仕上げをどこまでそろえるか
- 押入れを残すか、クローゼット等へ変更するか
- マンションの工事申請や床材の指定があるか
同じ希望を伝えても、壁の状態や床下地などは現地を見ないと分からない部分があります。見積金額だけでなく、「どこまでの工事を含むか」と「解体後に追加になる可能性がある項目」も一緒に見ておくと、会社ごとの差を読みやすくなります。
壁・床・収納など希望する工事範囲をそろえて伝えると、各社の提案内容や見積項目を見比べやすくなります。実際に施工できるかは、現地調査で確認してもらいましょう。
よくある質問
和室とリビングを一体化するリフォームの工期はどのくらいですか?
Panasonicの掲載目安では、間取り変更を伴う和室リフォームの工期は約1か月以上です。ただし、床だけを変える工事と、壁・天井・収納まで変更する工事では工程が異なります。実際の工期は、工事範囲とマンションの工事可能日などを含めて見積もり時に確認するのが確実です。
押入れを残したままリビングと和室をつなげることはできますか?
押入れを残すプランも考えられます。私の自宅では、和室を4.5畳へ縮小したうえで押入を0.5畳残し、別に2畳のWICを設けました。収納を残せるかは、間仕切りをどこまで変えるか、押入れの位置や構造、リビング側の使い方を含めてプランを組みます。
まとめ
和室とリビングを一体化するときは、最初に「完全に1室化するか」「必要なときに仕切れる形を残すか」を決めると、工事範囲を整理しやすくなります。床だけでなく、壁・建具・天井・収納までどこを変えるかが費用にも直結します。
マンションでは、壁の撤去可否、床の遮音条件、管理規約を先に押さえたうえで、同じ工事範囲を複数社へ伝えましょう。金額だけでなく、提案内容や見積もりに含まれる工事まで見比べると、会社ごとの違いをつかみやすくなります。







