マンションの間取り変更リフォーム|できること・費用・変更例を解説

マンションの間取りは、専有部分であっても何でも自由に変えられるわけではありません。壁の構造や管理規約、専有部分と共用部分の境界などを先に押さえ、その範囲で部屋数やLDK、収納、間仕切りを組み替えていくのが基本です。

費用も「壁を1枚動かす金額」だけでは決まりません。壁を撤去した後の床・壁・天井の復旧、建具や電気工事まで広がると、見積額は大きく変わります。

この記事では、マンションで間取り変更できる範囲、3LDKから2LDK・4LDKへ変える考え方、工事範囲ごとの費用の見方を整理します。約90㎡の自宅マンションで実際に行ったLDK拡張と和室・収納の変更例も紹介します。

この記事で分かること
  • マンションの間取り変更で最初に見るべき制約
  • 3LDK→2LDK・4LDKなど代表的な変更方法
  • 壁工事だけでは決まらない費用の考え方
  • 実際のBefore/After事例と見積もり前の準備
目次

マンションの間取り変更は「動かせる部分」の確認から始める

最初に見るのは理想の間取り図ではなく、今の住戸で動かせる部分と動かせない部分です。特に壁の構造、管理規約、専有部分と共用部分の境界は、プランそのものを左右します。

見るポイント間取り変更への影響
壁の構造壁式構造では撤去できない構造壁があり、ラーメン構造でもすべての壁を自由に動かせるわけではありません。
管理規約・使用細則工事の届出、床材、工事時間などにルールが設けられていることがあります。
専有部分・共用部分壁・床・配管などは、所有区分によって個人の判断だけでは変更できない部分があります。
設備を動かす計画キッチンや洗面などの位置を変える案では、排水経路や床構造などもプランの制約になります。

国土交通省の「マンション標準管理規約」は、各マンションが管理規約を作成・改正するときのひな型です。実際に工事できる範囲は、自宅マンションの管理規約や使用細則で確かめます。

また、マンションリフォーム推進協議会の「リフォームしやすい構造とは」では、RC造のラーメン構造と壁式構造で間取り変更の自由度が異なることが説明されています。撤去したい壁がある場合は、図面や現地調査で構造壁かどうかを見てもらうのが出発点です。

壁の見分け方をもう少し詳しく知りたい場合は、マンションで壊せる壁・壊せない壁の判断方法で整理しています。

3LDK→2LDK・4LDKなど間取り変更の代表パターン

マンションの間取り変更は、大きく見ると「部屋を減らして広げる」「空間を分けて部屋を増やす」「廊下や間仕切りの取り方を変える」という考え方があります。どの案でも、部屋数だけでなく仕上げや設備まで含めて考えると工事の全体像が見えやすくなります。

変更タイプ主に見ること
3LDK→2LDKなど壁撤去後の床・壁・天井、建具、電気の復旧範囲
3LDK→4LDKなど間仕切りに加え、窓・換気・空調・照明・コンセント
廊下・間仕切りの見直し面積効率だけでなく、生活動線・扉・プライバシー

部屋を減らしてLDKを広げる

3LDKから2LDKへ変える場合は、隣接する洋室や和室をLDKへ取り込む方法が代表的です。広いLDKをつくりやすい一方、壁を取った跡だけ直せば終わるとは限りません。

もともと部屋ごとに床材やクロスが分かれていれば、つなげた空間の仕上がりをそろえるために補修範囲が広がります。スイッチ、コンセント、照明、建具の位置も一緒に見直すケースがあります。

SUUMOリフォームタイムズには、70㎡の3LDKで隣接和室とクローズドキッチンを取り込み、約30㎡のLDKにする想定例として約250万~350万円が掲載されています。これは壁撤去だけの金額ではなく、特定の条件を置いたシミュレーションなので、自宅の予算へそのまま当てはめる数字ではありません。

部屋を増やして個室をつくる

3LDKから4LDKへ増やすときは、広い部屋を間仕切り壁や開閉できる仕切りで分ける方法があります。ホームプロには、開閉壁を使って3LDKから4LDKへ変更した事例で、単独工事の場合の概算73万円という例があります。

増室では、壁を作れるかだけでなく、その部屋をどう使うかが大切です。寝室や子ども部屋として使うなら、窓、採光、換気、エアコン、照明、コンセント、火災警報器まで含めて計画します。

固定式の壁を作る方法と費用は、間仕切り壁を作るリフォームの費用と判断ポイントで詳しくまとめています。

廊下・間仕切りを見直して面積を使い直す

部屋数を変えず、廊下を短くしたり間仕切りの位置を変えたりして、居室や収納へ面積を回す考え方もあります。限られた専有面積を使いやすくできますが、通路を削るほど動線やプライバシーへの影響は大きくなります。

たとえば、リビングを通らないと個室へ行けない間取りに変えると、廊下面積は減らせても家族の生活動線は変わります。面積の効率だけでなく、扉の位置や家具配置まで図面上で見ておくと、完成後の使い勝手を想像しやすくなります。

間取り変更リフォームの費用は「壁工事+復旧範囲」で見る

間取り変更の費用は、工事の名前より「どこまで直すか」で差が出ます。壁だけの工事と、複数室をつないで床・天井・建具まで整える工事を同じ相場として扱うと、予算を読み違えやすくなります。

LDKの天井に木製下地が組まれ、壁の下地も露出しているリフォーム工事中の様子
筆者宅でLDKの天井と壁の下地を施工している途中の様子です。
工事・事例掲載されている金額と見方
間仕切り壁の新設8万~25万円。2026年掲載の一般的な目安で、税区分や追加工事は別途確認が必要です。
間仕切り壁の撤去5万~23万円。撤去後の広い範囲の内装統一などは条件によって増えます。
間仕切り撤去+LDK拡張40万~90万円。内装補修・仕上げを伴う目安で、設備工事などは別です。
3LDK→4LDKの施工例73万円。開閉壁を使った特定事例の単独工事概算です。
3LDK→2LDKの想定例約250万~350万円。70㎡の特定条件を置いたシミュレーションです。

この金額を平均して「マンションの間取り変更は○万円」と考えるのは適切ではありません。見積書では、解体、下地、床、壁、天井、建具、電気、設備、養生・搬入、諸経費のうち、どこまで入っているかをそろえて見ます。

わが家は約90㎡の中古マンションを総額約600万円(税込)でリフォームしました。実際の見積書では木工事が162.7万円でしたが、この金額は間取り変更だけの費用ではなく、フルリフォームの中の木工事全体です。

総額600万円のマンションリフォームにおける主な工事項目別の税込金額ランキング
筆者宅のリフォームでは木工事が162.7万円でした。間取り変更だけではなく、フルリフォーム全体に含まれる木工事の金額です。

ネット上の「壁を撤去する費用」と、住戸全体の見積もりに含まれる木工事の金額が大きく違って見えるのは、工事範囲がそもそも同じではないためです。

自宅マンションのBefore/Afterで見る間取り変更実例

私の自宅では、部屋数を優先した間取りから、家族が長く過ごすLDKを広く取る構成へ変えました。すべてを作り替えたのではなく、残す部分と変える部分を分けています。

リフォーム前リフォーム後
LDK16.6畳+隣接洋室5畳LDK21.6畳
和室6畳+押入1畳和室4.5畳+押入0.5畳+WIC2畳
リフォーム前後のリビング・キッチン・和室・洋室・WICを畳数付きで比較した間取り図
リフォーム前後の間取り比較。リビングは13畳から18畳、和室は6畳から4.5畳へ変更しています。

5畳の洋室を取り込みLDKを16.6畳から21.6畳へ

リフォーム前は、キッチン3.6畳とリビング13畳を合わせた16.6畳のLDKに、5畳の洋室が隣接していました。この洋室をLDKへ取り込み、リビング部分を18畳まで広げています。

一方でキッチンの位置は変えていません。間取り変更というと大きく配置を動かすイメージがありますが、わが家では必要な部分だけを組み替え、既存の位置を活かすところは残しました。

この工事のBefore/Afterや和室とのつながりは、中古マンションのLDK拡張リフォーム実例で詳しく紹介しています。

和室を縮小してWICを追加

和室は6畳から4.5畳へ縮小しました。もともと1畳だった押入は0.5畳にし、新たに2畳のWICを設けています。

和室をなくさなかったのは、引戸を開ければLDKとつなげられ、閉めれば個室として使える状態を残したかったからです。部屋を単純に増減するだけでなく、「どの使い方を残したいか」から面積を配分する方法もあります。

リフォーム後の和室の引戸を全開にした状態と全閉にした状態の比較
引戸を開けた状態と閉じた状態。LDKと一体でも個室でも使える構成です。

収納の変化や間取りの考え方は、和室を縮小してWICを作ったリフォーム実例でまとめています。

部屋数を変えるなら採光・換気・動線まで確認する

「壁を作れる」「壁を取れる」だけで間取りを決めると、完成後の暮らしに無理が出ることがあります。特に部屋を増やす場合は、その空間を寝室や子ども部屋として使える状態まで考えておきます。

  • 窓の位置と採光
  • 換気設備と空気の流れ
  • エアコン・照明・コンセントの位置
  • 寝室として使う場合の火災警報器
  • 収納、家具、扉を置いたときの生活動線

住宅などの居室には建築基準法上の採光・換気に関する基準があります。新しく部屋を区切る計画では、用途や窓、換気設備を含めて設計者や施工会社に見てもらうと、間仕切りを作った後の手戻りを防ぎやすくなります。

わが家でも、間取りだけでなく収納、照明、コンセントまで一体で計画しました。図面上で部屋数が成立していても、家具を置いた後に通りにくい、エアコンを付けにくいといった問題が起きないかまで考えると、プランを絞りやすくなります。

見積もり前に図面・規約・希望条件をそろえる

間取り変更の相談では、「3LDKを2LDKにしたい」だけでなく、残したい場所と変えたい場所を整理しておくと話が進めやすくなります。同じ希望を複数社へ伝えるには、相談の前提をできるだけそろえておくのがコツです。

  • 現在の間取り図や購入時の図面
  • 管理規約・使用細則
  • 残したい部屋・収納・設備
  • 変えたい場所と優先順位
  • 床・壁・天井など、仕上げをどこまでそろえたいか

現地調査では、図面だけでは分からない壁や床の状態、仕上げの取り合いなども見てもらいます。見積書が出てきたら、総額だけでなく「何が含まれているか」を同じ軸で見比べることが大切です。

見積書の具体的な見方は、リフォーム見積もりの比較方法で整理しています。

よくある質問

Q. マンションの間取り変更では管理組合への届出が必要ですか?

管理規約や使用細則で、リフォーム工事の事前届出が定められているマンションはあります。申請期限や工事時間、床材などの条件も物件ごとに違うため、工事内容を固める前に管理会社や管理組合へ規約と手続き方法を問い合わせておくと進めやすくなります。

Q. 壁を撤去するリフォームでは石綿の事前調査が必要ですか?

建築物の解体・改造・補修を伴う工事では、石綿含有建材の事前調査が必要です。一定規模以上の工事では結果報告も必要になるため、壁や天井を壊す計画では元請業者に調査の進め方を確認しておきます。

自宅条件で実現できるプランと見積もりを比較する

希望する間取りと現況図面をそろえて、複数社へ同じ条件で相談すると、実現できる範囲や工事内容、見積もりの違いを見比べやすくなります。

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まとめ

マンションの間取り変更は、理想の図面を先に決め切るより、動かせない壁や規約上の制限を押さえてからプランを組み立てる方が現実的です。部屋を減らす、増やす、収納や廊下の使い方を変えるといった方法はありますが、仕上げ復旧や電気工事まで含めると費用は大きく変わります。

まずは現在の図面と管理規約を用意し、残したいものと変えたいものを整理して現地調査へ進みます。同じ希望条件で複数のプランと見積もりを見れば、自宅で実現できる範囲と予算のバランスを取りやすくなります。

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