マンションのキッチンリフォーム費用は、ホームプロの掲載事例では90〜120万円が目安とされています。ただし、水栓などの部分交換と、キッチン全体の入替・配置変更では、必要な予算が大きく変わります。
見積金額を左右するのは設備の価格だけではありません。配管や換気、電気、周辺内装の工事に加え、マンションでは床の構造や管理規約にも目を向ける必要があります。
工事内容別の参考価格と、わが家の改修例を紹介しながら、どこまで工事するかを考えるための材料を整理します。
- 交換・内装・位置変更で異なる費用の目安
- キッチン本体以外にかかる工事費と追加費用
- マンションの配管・換気・管理規約による制約と工期
- 予算に合わせた工事範囲の選び方と見積もりの見方
マンションのキッチンリフォーム費用相場はいくら?
相場は「何を交換するか」「周囲をどこまで直すか」で見方が変わります。2026年10月21日時点で確認された掲載価格を、工事範囲別に分けて紹介します。
キッチン本体・設備の部分交換費用
キッチン全体を取り替えず、傷みや使いにくさが気になる設備だけを更新する方法もあります。例えばTOTOの指定仕様・工事条件に基づく税込参考価格は、次のとおりです。
| 交換する設備 | 工事込み参考価格・対象条件 |
|---|---|
| 水栓 | 3〜5万円(税込)/TOTOの指定水栓・交換条件 |
| レンジフード | 15〜24万円(税込)/幅900mmの指定仕様・交換条件 |
| ビルトインコンロ | 16〜29万円(税込)/幅750mmの指定仕様・交換条件 |
これらはTOTOのキッチンリフォーム参考価格に掲載された例です。大幅な配管変更やダクト移設などを含む金額ではなく、複数設備を同時施工した場合の合計額を保証するものでもありません。
同じ位置でキッチンを交換する場合の費用
古いシステムキッチンを撤去し、基本的な配置を維持して新しいものに替える場合は、設備本体と既存設備の接続・撤去工事が中心になります。相場情報は、集計対象や工事条件が異なります。
| 情報源・工事条件 | 掲載されている目安 |
|---|---|
| LIXILリフォームショップ/マンションのI型キッチン交換 | 45〜100万円(税区分・個別費目は未確認) |
| ホームプロ/マンションのキッチン工事事例 | 90〜120万円(事例ベース。税区分・工事範囲の詳細は一律ではない) |
| リショップナビ/壁付けから壁付けへの同位置交換 | 50〜150万円(掲載相場。税区分は未確認) |
表の上下限をつなげて「どのマンションでもこの金額」と考えるのは避けましょう。同じ位置でも、間口や設備仕様、既存配管の状態、内装を張り替えるかどうかで見積内容が変わります。
内装込み・位置変更を伴う場合の費用
キッチンに加えて床・壁・天井を改修するケースでは、商品と工事範囲がセットで示された参考価格が役立ちます。TOTOのI型2550mm・指定仕様での例は次のとおりです。
| TOTOの指定商品・工事範囲 | 税込参考価格 |
|---|---|
| ミッテ+指定の周辺内装工事 | 76〜133万円(税込) |
| クラッソ+指定の周辺内装工事 | 98〜160万円(税込) |
この参考条件では、既存換気ダクトの利用、石綿が使われていないことなどが前提です。食器洗い乾燥機などの設備変更や、条件外の工事まで含んだ一律料金ではありません。
配置を変える場合は、別の工事範囲として考えます。リショップナビでは、マンションのレイアウト別に次の掲載相場を示しています。
| レイアウト変更の内容 | 掲載相場・条件 |
|---|---|
| 壁付けから対面ペニンシュラへ | 60〜200万円(税区分・工事内訳は未確認) |
| 壁付けからアイランドへ | 150〜300万円(税区分・工事内訳は未確認) |
配置変更の参考額には幅があります。金額だけでなく、希望する形へ変更できるか、給排水や換気経路をどの程度直すかまで見て予算を考えることが大切です。
キッチン本体以外にかかる工事費と追加費用
設備本体の価格が同じでも、工事費が同じになるとは限りません。見積書では「標準工事込み」という表現だけで判断せず、次の費目がどこに計上されているかを見ます。
解体・配管・電気・換気・内装の工事費
| 見積もりで見る費目 | 含まれる範囲・確認したいこと |
|---|---|
| キッチン本体・設備 | 本体、コンロ、水栓、レンジフード、希望する機器の仕様 |
| 解体・撤去・処分 | 既存キッチンの取り外し、廃材の処分費 |
| 給排水・ガス | 既存管の接続・切回し、設備方式を変える場合の工事 |
| 電気 | コンセント、食洗機・IHなどに対応する電源工事 |
| 換気 | レンジフードの交換、既存ダクトを使えるか |
| 床・壁・天井 | 仕上げ材の張替え、必要に応じた下地工事 |
| 搬入・養生・諸経費 | 機器搬入、共用部の保護、諸経費の計上先 |
例えばTOTOの指定工事条件では、床や壁紙の張替え、給排水・電気工事、既存換気ダクトの利用などが具体的に定められています。どの会社の見積もりにも同じ範囲が含まれるわけではありません。

ガス関連の金額を詳しく知りたい場合は、キッチンリフォームのガス工事費を解説した記事で扱っています。
追加費用が発生し得る条件
既存設備を外して初めて分かる状態や、希望する仕様の変更が、当初の見積範囲から外れることがあります。特に次の項目は、見積段階で扱いを明確にしておきたい部分です。
- 既存配管・下地:配管の切回しや床・壁下地の補修が必要になった場合
- 換気経路:レンジフードの位置が変わり、ダクトの移設・接続変更が必要な場合
- 電源・ガス:IHや食洗機の追加、設備方式の変更で工事が増える場合
- 内装の拡大:キッチン周囲以外にも床・壁・天井の仕上げを広げる場合
- 石綿への対応:事前調査で対象建材が確認され、必要な措置を行う場合
- マンション内の搬入:共用部の養生や搬入条件により追加作業が必要な場合
マンションでキッチンの位置変更はできる?
マンションでもキッチンを移動できるケースはありますが、希望する場所へ必ず設置できるわけではありません。特に排水経路と換気経路は、間取り案を決める前に調べておきたい部分です。
排水勾配・換気ダクト・梁などの制約
| 確認する場所・設備 | 位置変更に与える影響 |
|---|---|
| 排水管・床下の空間 | シンクから排水を流すための経路と勾配を確保できるか |
| レンジフード・換気ダクト | 既存ダクトに接続できるか、移動先までの経路を取れるか |
| 梁・構造壁 | 希望する機器や収納の設置、壁の変更に制限がないか |
| 電気・ガス設備 | 新しい配置やIH等への変更に必要な配線・配管を確保できるか |
LIXILのマンションの水まわり移動に関するQ&Aでも、床の構造や排水勾配が移動の制約になると説明されています。梁や既存配管に合わせた製品仕様もありますが、実際に対応できるかは寸法と現況次第です。

キッチン移動の可否を詳しく考える場合は、キッチン移動リフォームの判断ポイントも参考になります。
管理規約・工事申請・共用部の確認
施工できそうなプランでも、管理組合の承認や工事ルールへの対応が必要になることがあります。国土交通省のマンション標準管理規約では、一定の専有部分工事について事前承認を求める規定が設けられています。
標準管理規約はひな型であり、住んでいるマンションにそのまま適用されるものではありません。管理会社や管理組合に、少なくとも次の点を聞いておきましょう。
- キッチン交換や配管変更に申請・承認が必要か
- 工事可能な曜日・時間帯、騒音工事のルール
- エレベーターや廊下など共用部の養生・搬入条件
キッチンリフォーム費用を抑えるには?
費用を抑えたいときは、設備のグレードを下げる前に「どこまで工事をするか」を見直す方法があります。希望する改善内容によって、優先すべき工事は異なります。
| 改善したいこと・住まいの状態 | 工事範囲の考え方 |
|---|---|
| 水栓やコンロなど一部の不具合を改善したい | 交換対象を絞り、部分交換で目的を満たせるか検討する |
| キッチン全体が古いが、今の配置に不満は少ない | 同じ位置での交換を中心にし、設備仕様に予算を配分する |
| 周囲の床・壁の傷みや見た目も整えたい | 内装込みの見積もりを取り、仕上げの範囲をそろえる |
| 動線や収納を大きく変えたい | 配置変更による改善と配管・換気・内装の追加工事を比較する |
位置変更をしなければ必ず安くなるわけではありませんが、既存配管などを利用できる場合は工事を限定しやすくなります。反対に、今の配置が使いにくいなら、移動による改善を費用と合わせて検討する価値があります。
参考相場と実際の見積金額は、設備仕様や工事範囲によって変わります。希望する内容を整理したうえで、複数社の提案と費用を比べてみてください。
【実例】筆者宅はキッチンを移動せず約92.9万円で改装
私の自宅は築20年前後・約90㎡の中古マンションです。既存のキッチン位置を変えずに、キッチン本体と周辺をリフォームしました。

採用したキッチンは、タカラスタンダードの「オフェリア」(間口240cm)です。前カウンターや背面収納、元からあったパントリーの出入口などにも手を入れました。

施工当時の見積書では「キッチン改装工事」が約92.9万円でした。ただし、これはキッチン本体だけの価格ではなく、関連する内装・木工事などの費用がすべて含まれると断定できる数字でもありません。
わが家では隣接する洋室をLDKへ取り込み、LDKを16.6畳から21.6畳へ広げましたが、キッチンの位置はそのままです。住戸全体のリフォーム総額は約600万円(税込)で、キッチンの92.9万円とは対象範囲が異なります。
大幅な移動をしなくても、見た目と使い勝手を改善できたと感じています。これはわが家での判断であり、位置変更を希望する人にも同じ選択が正しいという意味ではありません。
詳しい施工内容はキッチン位置を変えないリフォーム実例、他の工事項目も含む費用の内訳はマンションリフォーム600万円の内訳にまとめています。
キッチンリフォームの工期と生活への影響
LIXILリフォームショップでは、キッチン入替工事の目安を2〜6日と案内しています。これは一般的な入替工事の参考値で、間取り変更や大きな内装工事を伴う場合の期間を示すものではありません。
工事日数と、キッチンを使えない日数も同じとは限りません。施工会社から工程表を受け取り、次のことを見ておくと生活の準備がしやすくなります。
- 既存キッチンの撤去日と、新しいキッチンを使い始められる日
- 給排水・電気・ガスを止める作業があるか、その期間
- 内装工事や検査・引き渡しまでを含む全体工程
なお、わが家のリフォーム工期は約2か月でしたが、これは間取り変更や浴室などを含む住戸全体の工期です。キッチン単独の工期として使える数字ではありません。
見積もりを取る前に確認したい7つの項目
同じ金額に見えても、含まれる設備や作業が違えば単純には比べられません。現地調査や見積依頼の前に、次の7項目を整理しておくと、提案内容の違いが分かりやすくなります。
- 設備仕様:キッチンの間口、レイアウト、コンロ・食洗機等の希望機器
- 工事範囲:本体交換だけか、解体・処分・床壁天井の内装まで含むか
- 配管・換気:給排水やダクトの移設があるか、既存設備を使えるか
- 管理申請:承認手続き、作業時間、共用部の養生・搬入条件
- 追加工事:別途扱いの項目、発生する場合の事前説明・見積方法
- 税込総額:本体・工事・処分・諸経費・消費税まで含めた金額
- 工期・保証:キッチン使用不可期間、製品保証と施工後の対応範囲
メーカーの製品保証と、リフォーム会社の施工後対応は別に扱っておきたい項目です。例えばLIXILのキッチン製品には、対象製品・条件に応じて原則2年間の保証が設けられていますが、他社や組込機器まで同一条件とは限りません。
見積書をどう読み比べるかはリフォーム見積もりの比較方法、相談先を絞る際の考え方はキッチンリフォームはどこに頼む?で詳しく扱っています。見積内容に疑問がある場合は、国土交通省が案内するリフォーム見積もりの相談制度も利用先の一つです。
希望する設備や工事範囲を同じ内容で伝えれば、各社の見積内訳や追加工事の扱いを見比べやすくなります。金額だけでなく、提案された施工内容まで確認しましょう。
一括見積もりサービス3社の違いを詳しく比較したい方は、こちらの記事をご覧ください。
まとめ|キッチンの工事範囲と総額を確認して判断しよう
マンションのキッチンリフォームでは、部分交換・同位置交換・内装込み改修・配置変更のどこまで行うかが、予算を決める出発点です。掲載相場は工事条件が異なるため、自宅の費用をそのまま確定できるものではありません。
今の配置を活かせるか、配管・換気・管理規約に制約があるかを踏まえ、改善したいことに合う工事範囲を選びましょう。見積もりを取る際は、設備仕様と施工範囲をそろえ、税込総額と追加工事の扱いまで確認することが大切です。







